モンスター来襲 | おしりをつつく、ほっぺをつつく。

モンスター来襲



 数日前、朝食の支度をするワタシのもとに長男が駆け込む。


 「ム、……なんかムシみたいなんがおるっっ」


 なによ~?あんたいっつもいっつもムシキングだとか

 カブトだとかクワガタだとか気が狂ったように言ってるくせに。


 と、思いつつも彼の指す、居間のカーペットを見てみる。


  
      ミクロモンスター



 こんな感じ。

 ちょっと病に冒された動物の皮膚みたいにも見えますが


 まあ、アレです。


 煙草の焼け焦げ。


 「なあっっ!!そこっ!それっ!!」

 「ああ……これはカーペットが焦げただけよ」


 「でもっっ!なんかっムシ、ミクロモンスターっっ!!!」



 ミクロモンスタぁ~~?


 ここで大爆笑。

 

 ミクロモンスターって!

 ちょっと、ミクロモンスターって!!


 とりあえず取り合わず朝食を出す、食べさせる、片付ける。


 で、いくらムシじゃない、と説明しても

 『ミクロモンスター』を恐れつづける長男。


 解っていても怖いんですってよ。


 「なあっ【子犬】っミクロモンスターをティッシュで隠してっ!

  隠して、早くッ!!」

 「穴が開いとるだけやで?」


 手下の次男に必死で命令するも無視される。

 完全に面白がっている母親はにやにやしながら洗濯物を干す。


 「隠してって!!」


 1人パニックルーム。


 仕方なく長男は『ミクロモンスター』にそろりそろりと近づき

 目いっぱい手を伸ばして、手に持っていたティッシュを

 それ、の上にふわりと落とすことに成功、一安心。


 でも

 いたずら心が顔を、出しますよね?


 偶然を装って足で ちょい、と。


 「あ、ごめん。ずれた」

 「ぎゃーーーーーーーーっっ!!」


 再びパニックになる長男に謝ってシェルター(ティッシュ)をもとにもどす

 と


 解決策を閃いた彼が持ち出したのは

 セロハンテープ。


 シェルター(ティッシュ)を直にカーペットに貼り付けました。


 防護力弱っ!


 結局、あまりにも長男が恐れるので焦げの部分を化粧用の眉バサミ(?)

 で切り(刈り)とってしまいましたが。



 でも、実はこの母にも経験があるんですよね。

 カーペットの焼け焦げを


 こわごわ、こわごわ

 ムシなのかムシじゃないのか遠くから確認した記憶。


 焦げだと判明してもなるべく見ないように暮らした記憶。

 すごいね、血だね。なんかうれしいね。